104 女性にとって最も大切な「15年」を知っていますか?

女性のキャリアを真剣に考えることの大切さ

皆さんこんばんは角松利己です。今回は、本の紹介です。

山口奈生『ワタシを知って、アシタを生きる。: 悩みの無限ループを抜け出す5STEP』

読み進めていくとわかりますが、書籍の後半は、山口さんご自身が形成している「ワタシル大学」のPRになっています。

ですが、そのPRに至るまでのストーリーが秀逸で、飽きさせません。

女性にとってのキャリアとは何なのか?

本書では、山口さんご自身の経験を踏まえながら、この一点についてのみ、丁寧に心境を語ってくれています。

田舎から東京へ。そしてアメリカへ。帰国して独立開業。

女性なら誰でも陥ってしまいそうな状況について、「大切なことは何か?」について気負いなく、自分の気持ちに正直に語っています。このストーリーを読むこと自体に、価値があると感じさせてくれます。

女性のキャリアは、「たった15年」に集約されている

ですが、私が価値を感じた点は、実は「飽きさせないストーリー」や「女性のキャリア」だけではありません。

それ以上に私の目を引いた点は、「出産適齢期に関する現実を教えてもらった」ことです。

40代や50代になってから出産をした芸能人のニュースは、「ニュースになるくらい稀なこと」
・国が不妊治療のために費用を助成してくれるのは、「43歳までの女性」であること

こういったことは、以前からわかっていたことでしたが、改めて事実として突きつけられると、驚きを隠せません。

さらに、この本を読んで私が最も衝撃を受けた気づきがありました。それは、次の点です。

女性は中学高校で「妊娠するリスク」を教わるが、「出産適齢期」はそれからわずか15年以内であり、そのわずかな期間に「学歴」「就職」「結婚」などのライフイベントをクリアしなければならないこと

・・・多くの女性は、高校卒業時まで妊娠のリスクを刷り込まれ、卒業直後から経済的自立を促され、就職後数年したら「そのうち妊娠できなくなるかもしれない」といった不安を抱え始め、旧態依然とした「男性的価値観を中心とした社会」で生きていかざるを得ない。

わずか15年という期間にこれだけのライフイベントが女性に押し寄せる。男性である私には想像もつかなかったことでした。

その「15年」をサポートするのは、誰か?

現在、日本人女性の結婚平均年齢は30歳と言われています。結婚後に子どもを授かるとすれば、初産は30代前半になるケースが多いでしょう。

つまり、高校卒業後の18歳前後から初産を迎える可能性のある30代前半くらいの期間の女性に対するサポートの手厚さと、その在り方、多様性が問われているのです。

子どもを授かるかどうかは、何より本人の意思が尊重されます。とは言え、少なからぬ女性が「経済的自立のための学びを深め」、「社会参画手段としての仕事に従事し」、「価値観を共有できるパートナーを選択する」というハードルを越え、さらにその先にある「出産」を願うケースは、確かにあります。そして、それを支援するのは、社会全体の責務です。

もしよかったら、山口さんの ワタシを知って、アシタを生きる。: 悩みの無限ループを抜け出す5STEP を読んでみてください。10代後半から30歳前後の女性に、お勧めします。

ただ、一番読んでほしいのは、男性です。現代の日本を含めた多くの国々の社会では、男性を中心としたシステムで動いています。しかし、当の男性は、そのことに自覚的ではありません。なぜなら、生まれながらにして無意識に享受している権利だからです。

男性自身の持つ当たり前が、そうでない人たちにとっては当たり前でないことに気づくことが、「女性のキャリア」を考える上でとても重要です。そのうえで、男性でも女性でもない、他の多様性を備えた人たちの生き方を理解し、受け入れることが求められます。

余計な人間など、誰一人としていませんから。

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