56 ノウハウに手を出さない教師が、成功する

仕事で成功する

ノウハウに手を出さない教師が、成功する。

皆さんこんばんは角松利己です。ハンドルネームの由来は、こちら

今回は、「ノウハウ」にまつわる話をしたいと思います。

私が定期購読している相馬一進さんのメルマガに、次のような言葉がありました。

具体的なノウハウを伝えれば伝えるほど、参加者の知的レベルが下がる。

相馬さんは、「ビジネスの具体的ノウハウを知りたがる人たちは、知的レベルが低い」と言います。彼の言葉を以下に続けて引用します。具体的なイメージを膨らませてみてください。

知的レベルの階層

知的レベルが最も高いのが、「ビジネスモデル構築セミナー」などに参加する人たちです。
こういった人たちは、自分の頭で考えて、ビジネスをゼロから構築できる人たちなので、かなり頭がよい人たちです。

つづいて、知的レベルが次に高いのが、「コンサルタント養成講座」などに参加する人たちです。
こういった人たちは、自分でゼロからビジネスモデルを構築することはできません。しかし、すでにあるビジネスモデルを利用してビジネスを始めることができる人たちです。

知的レベルが最も低いのが、「転売のノウハウ」などを買いあさる人たちです。
こういう人たちは、ステップ・バイ・ステップでやり方を教えてもらえないと、ビジネスができない人たちです。

あなたの努力レベルは、どこにあるのか?

・・・さて、この話を聞いて、どう感じましたか?

私たち教師は定期的に、あるいは不定期的に、「自己伸長」に取り組んでいます。教師としての資質を高め、身につけた知識やスキルを生徒に還元するために、一定の努力を行っている人は、きっと多いと思います。

ところで、そういった「努力」の次元は、どのレベルにありますか?

先に挙げた3種類の人たちは、相馬さんによれば、はっきりと階層化されています。

階層の上位は、「仕組み化」を目指す人たち

「ビジネスモデルの構築を目指す人たち」というのは、「仕組み化」を目指す人たちです。仕事に対して自身が介入する度合いを可能な限り低くするために、仕組み作りに励む人たちです。

では、なぜそうするのか?

成果を出すために、あるいは問題が起こるたびに自身が動かなければならない状態を、嫌うからです。

そういった人たちは、入念に準備を重ね、自身が介入しなくてもスムーズに物事が運ぶような仕組みをあらかじめ作っておき、そうすることで自身の機動力を最大限に高めておきます。

たとえば教師なら、浮かせた時間をさらなる自己伸長に投資します。そうやって知識やスキル、あるいは関係性の拡大を図り、次はもっと大きな利益を自身に対してはもちろん、学校や生徒、同僚に還元するのです。

階層の中位は、問題意識と模倣する力のある人たち

次の「階層」にいる人たちは、「すでにあるビジネスモデルを利用してビジネスを始めることができる人たち」です。

仮に教師が学校で実践するなら、「書籍や研究者、あるいは他校の実践例に倣い、同様のシステムを自校に導入する」などが考えられます。

こんな風に、常に新たなアイディアや成功例にアンテナを張り、自校への導入可能性や適性化を図りながら、多くの人たちに貢献できることがないか探し続けている人たちでしょう。

自身にアイディアがなくても、他人のサービスに価値を見出して即座に吸収できる柔軟性を備えた人たちということになると思います。

最下層は、楽して早く結果が欲しい人たち

そして、「最下層」が、「ノウハウを教えてもらうだけの人たち」です。

私は不定期的に、「教師の相談室」や「教師の研修会」で取りあげられるテーマを見ています。ネット上には非常に多くの「学校・教師関連サイト」が存在し、多様な方が多様な質問を展開したり、悩み事の相談をしたり、それに答えたり、教育制度の変更に伴った、あるいは教師の資質向上を謳った研修会が、毎日どこかで必ず開催されています。

私がそれらの「悩み」や「相談事」、あるいは研修会の「テーマ」を見て疑問に思うのは、

「なぜそんなことを人に聞くんだろう?」
「自分で答えを出せる問題じゃないのかな?」
「そのスキルはどんな状況でも通用するものなの?」
「本質は、違うところにあるんじゃない?」

といった、些末で、表面的で、短絡的な姿勢の現れ方についてです。

思考を停止したか、牙を抜かれたか

私はそこに、「教師の自己決定意識の低さ」を感じます。

生徒に教えることを生業にしている「教師」という人種は、教えるのと同じくらい教わることが好きなのかも知れません

あるいは、生徒だけでなく、学校という極度に同調圧力の高い環境下において大過なく過ごすためには、どんな些細な事柄でも他の教師に事前確認しておいた方が無難なのかも知れません。

いずれにせよ、そこには「自己決定意識の低さ」を感じてしまいます。

対応しなくていいから、先を見ろ

研修会のテーマは、教育制度の変更に絡む旬な話題に関することや、著名な講師を招いて本人が提唱するスキルを学ぶためのものであることが多いです。おそらく参加者の問題意識は高いのでしょうが、きっと彼らは次の制度改革の際にも同じ動きをするでしょうし、高い評価を集めたメソッドが脚光を浴びれば、まずはその方法を学ぼうと考えるのだと思います。

私自身も、制度の変更や効果性の高い指導法などを見聞きすれば、興味があるし、理解し身につけたいという気持ちはあります。でも、ネット上でこれだけの量の情報が提示されるのを目にすると、自身の選択に確信が持てなくなるのも事実です。

制度は、変わる。
新たな指導法も、生まれては消える。

その一つ一つに対応することを、私はやめました。

私が気にしているのは、

「それは普遍性が高い提案なのか?」
「その問題の本質はどこなのか?」
「その制度は誰にどんな利益をもたらすのか?」

という点です。

「対応」してはいけない。その「先」を見るんです。

もしかしたら、数々の悩みを吐露し、旬な指導法を学び、制度改革にその都度対応しようとする方々も、目先の問題解決に精いっぱいで、実は問題の核心ではないということに薄々気が付いているのかも知れません。

あるいはただ「従順」に、教師としての価値観が取り巻く世界に浸っていただけなのかもしれない。

でも、表面的な悩みを解決し、変化に無条件で対応するだけならば、それは「ノウハウを教えてもらうだけの人たち」の立場に甘んじることになります。

「ノウハウ追求」と「責任感」の関係

先のメルマガの文章は、こう続きます。

ここからが重要なのですが、知的レベルが高い人ほど、自己責任の意識が高いです。

ビジネスがうまくいかなくても、「全ては、自分に責任がある」と考えているのです。

一方で、知的レベルが低い人ほど、他人のせいにする傾向があります。

ここでは「知的レベルの高低」を問題にしていますが、私が言いたいことは違います。

ビジネスモデルを自ら構築しようとする人は、自己責任の意識が高く、ノウハウに依存する人は、他人に責任があると考える。

この考え方は、理論的にも経験的にも的を射ていると思います。

属人主義からの脱却

では、教師に例えるなら、どうでしょうか?

自分がいなくてもいいようなシステムを創り出す教師は、高い生産性をもたらします。

これは私にとっての理想でもありますが、

「どの勤務校においても、自分の存在を消せること」が、ある意味では「最強の教師」の一側面を言い表しているのです。

「あの人がいたから、うちの学校は建て直すことができた」

そんな風に言われる教師は、素晴らしいとも思います。でも、私が目指すのは、その先です。

それは、誰もが無理なく取り組めて効果の上がるシステムを作ること。システムは、人の手を離れて作動し続け、時代に合わせて改良されていく。これが私の目指す、ベストの状態です。

システムの作り手は、覚えてもらわなくていいのです。それよりも、システムが残り続け、改良され、進化していくこと。あるいはシステム構築の可能性そのものが他の教師で共有され、彼らの手でさらに新たなシステムが生み出されていくことが大事です。

そうなったら、いいですよね。人に依存しないシステムにある程度のことを任せ、どうしても「あなた」でなければできない部分を、「あなた」に担当してもらう。

実現までには、学校というシステムの抜本的な見直しが必要になりますが、考える価値は大いにあります。

このように、「システムづくりができる人」は、長期的本質的視点に基づいて考えたプランを提出する人たちであり、自身の名が残ることに頓着することなくプランの成功に尽力し、その定着に期待を寄せているのです。

これが、「責任ある人たち」と呼ばれるゆえんです。

一方で、「ノウハウ依存の人たち」は、既存の手法を手に入れることが最大の目的になっているわけです。

自分の頭で考えることをしていないため、安直で短絡的な回答や手法に飛びつきがちになり、うまくいっても同僚にその恩恵を分け与えることなく、うまくいかなければノウハウ提供者に対して失望する。その信頼は、あなたが勝手に抱いていた信頼に過ぎないのに、です。

「責任を他に求める人たち」と呼ばれるゆえんでしょう。

ノウハウの追求はやめて、代わりにシステムの構築を

結論。ノウハウを追求してはいけない。

それは、現状への対応を最優先にすることに等しいから。
そして主体的に、深く考えることを放棄してしまうことにつながるから。
そのどちらも、教師自身の成長につながらず、結果として生徒を育てることにもならないから。

そうではなく、システムをつくりましょう。属人主義から脱却しましょう。

どちらの方法も、あなただけでなく、多くの同僚を楽にしてくれるはずです。

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