32 ブレない生き方をするために必要なのは、自信? 強い意志? 成功体験?―――いいえ、どれも違いました。

セカンドキャリアを構築する

日本人は、ブレブレ

ちょっと前に、「ブレない生き方」系の本が流行りましたよね。
気になってamazonで「ブレない」を入力したら、211冊の本が候補に挙がりました。実際は「ブレない」というキーワードからずれてるタイトルの本もたくさん含まれているんですが、いずれにせよ「多いなあ」という印象です。

ブレないことって、私たちにとっては大きな関心事なんですよね。
日本人は周囲の評価や反応を過度に気にすると私は思っているので、「こんな自分は嫌だ」「私も人の意見を気にせず振る舞いたい」と普段から感じている人は、きっと多いと思います。

「センセイ、ブレてちゃダメですねぇ。」

私が48歳の時、当時の勤務校の同僚に、こう言われたことがあります。生徒への対応について、あれこれ考えを巡らせていた時に、たまたま一緒にいた同僚に相談した時の言葉でした。

彼は私より10歳年下でしたが、自分の信念が明確で、比較的はっきりものを言うタイプの人間でした。(彼なら、ブレることはないのかもしれないな)と内心思っていましたが、同時に、(生きていれば価値観が変わることもあるはず。結婚すればパートナーの価値観が、子どもが生まれれば子を持つ親の切実さがわかる。そもそも俺たちだって子ども時代があったわけだし。やっぱり俺は死ぬまでブレブレだろうなぁ。)と、変に自分自身のブレさ加減に納得した覚えがあります。

教師も、ブレブレ

一般的に私たちは、ブレます。
「教師はどんな職場に勤めても、どんな生徒を相手にしても、一貫した姿勢で臨まなければならない」と考えている人は、特に「教師ではない人」の意見として聞かれることが多いものですが、実際現場の教師はよくブレます。それはよく言えば、「生徒一人一人の適性を見極めたうえでの対応」ということになるのでしょうが、正しくは、「勤務先の雰囲気」による影響が大きいのです。そして「勤務先の雰囲気」とは、「当該校の伝統的風土」と「教師の人間関係」を指します

学校という場は恐ろしいほど保守的なので、長年の慣習を変えるには、非常に大きな力が必要です(ただし「外圧」には非常に弱い。学校を変えたいのなら、「外圧」をかけることが手っ取り早いです)。その学校が長年、何をやってきたのかがすべてと言えるでしょう。

また、教師の人間関係も、ブレる大きな要素になります。発言力の大きい人の影響力や、波風を立たせたくないという気持ちは、私たち一人一人の本音を何度も消し去ろうとします。

このような理由から、教師はブレまくります。

疲れ果てた私

でも、こんなことを繰り返していたら、疲れますよね。
青臭いことを言うようですが、学校という場が未来を担う生徒を育成する場であり、「正しさ」や「理想」を追求できる数少ない場であり、私たち教師は生徒が日常的に接する大人であり、その時間は一日の半分を占めている。

なのに、影響力を行使する私たち教師が、当該校の陋習に飲み込まれ、同僚の視線を気にしながら簡単に意見を引っ込め、達成感のない仕事に追われている。そりゃ、疲れますって。だから私は、疲れるのをやめることにしたんです。

原則の追求

それが、48歳の時に出会った『7つの習慣』です。ここで詳細は触れませんが、書店で1時間立ち読みして飽き足らず購入、時を同じくして『7つの習慣』を個人向けに教えるファシリテーター資格を取得。そして何より、私が人生において志向する方向性が、はっきりと定まりました。そこで謳われている原則はすべて普遍性の高いものです。周囲からの影響を可能な限り排除し、自分の考え一つで一度限りの人生を切り拓いていこうとすることの大切さが、身に染みてわかりました。

結果―――人生に対する向き合い方が、変わりました。表面的には、きっと誰も気づかないと思います。しかし、私の心の中では、人生のゴールが思い描かれています。

周囲の意見はすべて聞いたうえで自分の意見を言い、仕事に集中し、信頼を得る。棚上げにしていた問題に着手し、常に考え続け、未来に向けてアイディアを出す。これが私の毎日です。こうして記事を書き、ブログに投稿することも、思い描いたゴールに到達するための小さな一歩になっている。そういった確信が得られています。

ブレても、戻ってこれる

この記事で最初に紹介した言葉を、もう一度、自分自身に問いかけてみます。

「センセイ、ブレてちゃダメですねぇ。」

そお? でも仕方ないね。生きていれば揺れ続けるのは当たり前だし、揺れなくなったらそんな自分はたぶん好きになれないな。」

心の中に、確固とした原則がある。だから、いくらブレても戻ってこれる。そんな確信がある私は、きっと生涯、ブレ続けると思います。

そしてこのことが、従来の学校がもたらす価値観から私を解き放ち、いつか果たしたいと願う起業への準備にも、つながっているのです。

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