「スキに夢中になることが、そのままキャリア教育になること」を実感した件

上から、炭治郎(たんじろう)、カナエ、しのぶ、無一郎(むいちろう)の刀

 私自身、『鬼滅の刃』は観てません・・・。 ごめんなさいね。

『鬼滅の刃』に関心のない私

ファンの方には申し訳ありませんが、私は『鬼滅の刃』にほとんど関心がありません。amazonプライムビデオでアニメの第1話を観て、ショッキングな展開とギラついた目をしているキャラクターたちを受け入れることができなかったからです・・・。

『鬼滅の刃』最終巻のミニチュア。新聞の切り抜きを集めて本に。表紙の2人はいい笑顔ですね。
最終巻の内側。全部、新聞記事の縮小切り抜き。ギラついた大きな目は、不得意です・・・。

そんな『鬼滅の刃』は、2020年5月18日に『少年ジャンプ』での連載を終了。しかし勢いはやまず、コミックの最終巻23巻は、同年12月上旬の時点で285万部以上売れ、週間売上1位を記録。「コミックシリーズ別総売上」も1億部を超え歴代2位に。さらに同年末に公開された映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』も興行収入324億円を挙げ、「日本映画歴代興行ランキング」で1位を記録しました。

単行本の爆発的な売れ行きや、日本映画史上に残る観客動員数と興行収入を挙げた作品である『鬼滅の刃』。「関心がない」なんて、本当は言ってられないんでしょうね・・・。

左がキーホルダーで、右が栞。イラストのコピーを折り紙で縁取りして、100均のラミネートに入れたもの。

『鬼滅の刃』にハマる娘

ところで、あまり関心の持てない私に対して、娘は『鬼滅の刃』に、特に「時透無一郎くん」にご執心の様子。現在9歳の娘ですが、8歳の頃から

・ゲオでコミックを借りて読み(娘は基本的に活字嫌いです)、

・amazonプライムビデオでアニメを鑑賞し、

・TV放映の際は、決してチャンネルを譲らない。

一貫した方針で興味関心を追求していました。

無一郎の部屋なんだけど、住人は錆兎(さびと)。
カナエの部屋なんだけど、住人は玄弥(げんや)。

「鬼滅アイテム」を作り始めた娘

ところが、そんな娘がある日から「鬼滅アイテム」を作り始めたんです。「鬼滅アイテム」とは、いわゆる市販されているキャラクター関連グッズのこと。娘は買い物についてくる時、どこに行ってもグッズを目にするわけですが、親にねだっても買えない。「だったら自分で作ればいい」と考えたようです。YouTubeでもいろんな人がいろんなグッズを作っているようで、そういった動画を観ながら一人手作業を始める姿を見かけるようになりました。

『鬼滅の刃 おねむたんシリーズ』のフィギュアの疲れを癒やすための温泉を作ってみました。とのことです。

子どもって、「作りたい!」のカタマリですね。もともと小さい頃から不用品を使って切ったり貼ったりをしてきましたが、その気持ちは今でも変わっていないようです。ここ3ヶ月ほどでいくつか「作品」を作りましたが、いずれも力作揃いです。

「鬼滅アイテム」勢揃いです。

「鬼滅アイテム」に必要な材料

家にある不用品で作るため、特別な材料は必要としません。これまでの画像を見ていただいてわかるように、牛乳パックとPCから印刷したキャラの切り抜きが中心となります(笑)。時折、爪楊枝や綿棒や色紙を加工したものを添え、100均で買った小道具とガチャで揃えたキャラクター人形を配置して完成。でも作った本人はあれこれ思案していました。

部屋はしのぶの部屋。住人もしのぶ。
炭治郎の部屋に天元(てんげん)が遊びに来ました。
炭治郎と禰豆子(ねずこ)の部屋。

娘の意外な一面を発見

「作業」従事中の娘の表情は、真剣でした。「楽しそう」というより、「集中してます。話しかけるべからず」と無言で周囲に「空気」を放っていた感じです。

メンバーみんなで紅葉狩り。
楽しそうです♪

私はそんな娘の表情を見るのが大好きで、いつも心のなかで、「いいぞー、もっとやれー♫」と、エールを送ります。工作は、おそらく娘にとっては親から褒めてもらうほぼ唯一の取り柄だと思うので、娘も一生懸命に取り組みますし、作品完成後は私たち親の方もあれこれと批評をします。それを聴いている娘はいつもよりちょっと威張っている感じ(笑)。私たち親の「先生」になって、「これはこう、これはこう」と説明します。きっと誇らしいんですよね。

善逸(ぜんいつ)の部屋。住人は実弥(さねみ)

アイテム作りが簡単にできる3つの理由

ところで、このような「アイテム作り」が簡単にできる理由が、3つあります。それは「金銭的理由」「空間的理由」「心理的理由」です。

まず、お金をかけないことです。お金をかけず、手元にある不用品で自分の作りたいものを作る。子どもは飽きっぽいし、お金の大切さもある程度わかってほしいところですよね。不用品と100均とハサミとテープがあれば、大体のものは作ってしまえると思います。

スマホカバー。上は炭治郎で下は禰豆子。私のお気に入りです。

次に、家でできることです。コロナの影響もありますが、リラックスできる環境でいつでも気の向いた時に取り組めて、困ったら家族にサポートを頼める場所と言ったら、自宅です。欲しい小物がすぐに揃い、疲れたら休憩してまた始める。どこか娯楽施設のような場所に連れて行かなくても、ある程度の材料があれば何かできてしまうのが、家のいいところです。

スマホカバー。上は義勇(ぎゆう)、下はしのぶ。
2枚並べてみました。私は左を押します!

そして最後に、「スキなことで自分の世界を創り上げる」楽しさです。子どもは「自分のスキなもので周りを固めて悦に入っていたいもの」です。あ、大人も同じですか? きっとそうでしょうね。でもこういう気持ちがあるからこそ、「ちょっとやってみよう!」と思い、すぐに実行に移そうとするのではないでしょうか。子どものこの主体性は、大人も見習いたいところです。

鬼滅シャーペン。左から無一郎、蜜璃(みつり)、小芭内(おばない)。透明なシャーペンにプリントしたキャラを丸めて入れただけ。
カナヲとしのぶとカナエのノート。イラストを切り抜いて貼りました。
無一郎のノート。

わが子の「スキ」を伸ばしてやりたい親が心がけること

子どもには、何はなくとも「スキなことをどんどんやって、人生を楽しんで欲しい♬」と思います。娘が「鬼滅アイテム」を黙々と作っている様子を見ながら私が感じたことは、「どうすればいい方向にもっていけるかな?」という点でした。そこで気づいたことが2点あります。

1つめ。声をかけないこと。子どもの作業中は、極力声をかけずに、離れて見ています。普段は親にいつも声をかけたり、そうでなければスマホ動画やTVに熱中している時間が長いので、こんなふうに1人でなにかに集中している時間は貴重です。

作業中はほったらかしにしてこちらが自分のことを自由にやっていても、何も問題がありません。「静かな1人の時間をプレゼントする」くらいの感じです。困った時は、必ず子どもの方から話しかけてきますから、その時にきちんとサポートしてやればOKです。

番外編。「東方」キャラの誰かさん。

2つめ。完成した後に、「作品」についてのやりとりをすること。子どもにとって、短くない時間を集中して取り組んだ試みに対しては、きちんと向き合ってやることが大切だと思います。

完成後は、まず質問をします。「このキャラの名前は?」「この部屋は誰が住んでいるの?」「この小道具は何に使うの?」「ここにこの色を塗った理由は?」など、個々の疑問を伝えます。娘は一生懸命に答えようとしますが、そのプロセスを大事に考えています。

一通り質問が済んだ後は、「大変だった点とうまくできた点」の2つを尋ねます。「大変だった点」を聞くのは、プロセスを評価してやりたいから。「うまくできた点」を聞くのは・・・・・・それを聞いた後に、まさにその点を親として褒めてやりたいからです。ちょっとズルいかもしれませんが、作った本人が「うまくできた!」と感じている点を褒めてやるのが、一番嬉しいんじゃないでしょうか?

こちらは『東方』キャラのパチェリー。・・・パチェリー??

「工作」すら、キャリア教育になる

唐突ですが、「もしあなたが仕事をするなら、次の3つが交わった部分にある仕事をしなさい。それは、あなたが好きで、得意としていて、誰かの役に立つことです。」という言葉を聞いたことはありませんか? 多少表現が違っていても、これに類する言葉を聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

「スキで、得意を、誰かのために」。あなたは、そんな仕事をしていますか? 私は自分の仕事に対して、何年か前までは「スキを、誰かのために」しているという意識がありました。「得意」ではないところが痛いですけどね(笑)。

娘は、今は「スキで、得意」を、「自分のために」しています。でも大人になったら、「スキでもなく得意でもないことを、誰かのために」するようになるかもしれません。もしそうなったとした、それはとても残念なことです。しかし本質的な問題は、「残念なこと」と言っている私たち大人の多くが、まさに「好きでも得意でもないことを、なぜか自分以外の誰かのために」やっている現状にあります。

3要素のすべてが、違う方向を向いてしまっているんですね。

私は娘を「通わせたい」と思う高校があります。その上で、高校卒業後の進路は自由にさせます。大学に行っても行かなくても、海外に行っても就職しても、どんな道でも構いません。私が譲りたくないのは、娘が「スキで、得意で、できれば誰かのために。もしくは自分のために」、何らかの仕事を始め、楽しく人生を過ごすこと」です。

私たちが目にするもの、手に取るものはすべて、「キャリア」につながります。でもその「キャリア」は、今までの価値観で捉えられるようなキャリアのあり方ではありません。

誰もが「スキで、得意で、できれば誰かのために」時間とエネルギーを注ぎ込めるキャリアです。

ミニチュア習字セット。明日は元旦です。

今日は2020年12月31日です。コロナのせいで、年末は帰省を見送りました。明日から、新たな1年が始まります。どうか、あなたにとって素晴らしい年になりますよう。

 何かに夢中になる気持ち、ずっと前にどこかに置き忘れていた気がします・・・。
 『鬼滅の刃』、意外といけるかも。

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