27 あなたが人生に期待するのではない。人生があなたに期待しているのだ。

7つの習慣

TEACHERS×7HABITS
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教師を捨てれば、教師になれる。
スキマ時間で、教師の常識をアンインストールする。

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□自己中心的な人生

「私はこれ以上、自己中心的な人生を送りたくない。
私は自分の人生を奉仕に使わなければいけない。」
『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』

□知見

筆者であるスティーブン・R・コヴィーの娘、シャノンが19歳の時に言った言葉。彼女は病気の子どもが目の前で嘔吐し、彼女に抱きつこうとした瞬間にそう思ったという。

残念だが、私にはそのようにまで思えない。人生を奉仕に捧げようと決意するまでには、私自身の多くない係累、妻、娘、一緒に住んではいないが大切な家族の存在が幾度となく頭をよぎることだろう。そして、経済的な理由でそのことをあきらめるに違いない。

しかし、私は幸運にも50歳を過ぎるまで生を受け続けることができた。有能で思いやりがあり、志の高い人たちが私よりもずっと若い年齢で惜しまれて亡くなっていく中、運よく生き永らえた私は、人生の残り時間を数えている真っ最中にある。それまでの生き方を見直し、残る人生を何に捧げたらいいのか、それを考える機会を与えられているわけだ。

□初任者研修での出来事

私が25歳の時、新採用の年に「初任者研修」の一環として、ある養護施設を同期の教員たちと一緒に訪れる機会があった。一通り研修を終えた後、施設を離れる直前に、前庭に初任者一同が集まった。およそ40人くらいだっただろうか。施設の生徒たちが私たちを見送ってくれていた。車のロータリーを挟んで、ちょうど2つの集団が向かい合う形になっていた。

すると、施設の生徒たちの集団から、1人の女の子が私たちの方へ向かって駆け出した。瞬間、初任者教師の集団は、「何があったんだろう!?」といった面持ちで、彼女が向かう一点を注視した。女の子の走るスピードが「目標に向かって一目散」といった感じだったので、そこに居合わせたすべての人たちの興味を引いたに違いない。

その子は、私のいる方向へまっすぐ走ってきた。私は、少し緊張し、身構えた。

その1秒後、その子は――――私の胸に、飛び込んできたのだ。

その時の私はかなり当惑していたに違いない。そっとその子の肩を抱きしめて、じっとしているしかなかった。

女の子が離れた後、私は同期の仲間から何か言われ、私も言葉を返したはずだ。そのやり取りは覚えていない。しかし私の心は震えていた。私を選んでくれたこと。私に安心感を覚えてくれたこと。教師になりたての私にとっては、「お前なら生徒に受け入れてもらえるぞ」と言われた気がして、とにかく幸せな気分だった。

あの日から、長い年月が経った。でもあの日の出来事は、こうやって私の心を奮い立たせてくれる。

最初の問いに戻ろう。私は残りの人生を、何に捧げるべきなのだろうか?

「あなたが人生に期待するのではない。人生があなたに期待しているのだ。」

この言葉は、『夜と霧』を書いたフランクルの言葉。ナチスドイツから激しい弾圧を受け、毎日が死と隣り合わせだった精神科医の言葉だ。

そして、私たちと人生との関係は、いつの時代であってもフランクルの言葉通り。これは決して変わることがない原則だ。

「私たちが人生に期待するんじゃない。人生が私たちに期待している。」

人生が、私たち一人一人に
「あなたは誰を幸せにするために、この世に生を受けたんですか?」
そう尋ねているのです。

ならば、その期待に応えよう。
私は、私の胸に無条件で飛び込んでくれたあの子の期待に応え、私に対する人生の期待に応える。

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