36 高校生で起業家の彼が教えてくれたことは、アイディアの価値とチャレンジ精神。

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高校生で、起業家。

2019年11月9日の土曜、他校の生徒に会ってきた。

彼は、高校生起業家だ。

彼と会った理由は2つ。

1つは、彼の経営する無人書店のブックオーナーになるため。
もう1つは、高校生で起業した人物の考えを知るため。

色々聞きたいことがあって、面接時間30分のところ、50分にわたって話ができた。

結論。

「アイディアとチャレンジがすべて」だ。

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アイディアとチャレンジがすべて

面談の前半は、彼から書店のシステムを聞くこと。

知り得たことは以下の点だ。

  • 内装工事に必要なお金3百万円を親から借りた。
  • 内装(特に本棚)の注文はターゲット層の好みに合わせ、店のコンセプトに共感してくれた業者オリジナルを購入した。
  • 入出店の暗証番号システムや無人決済システムは自分で考えた(カウンターにタブレットを設置して、クレジットカードやPayPayで支払う)。
  • 24時間監視システムで、どこからでも店の状況を確認できる。
  • ブックオーナーには本棚スペースを設け、自身の蔵書を置いてもらう。
  • 本の売り上げは彼(の会社)とブックオーナーが按分。
  • 月の運営費用は2~3万円。
  • 販促活動は積極的にお願いします!

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面談の後半は、私からの質問に彼が答える番。

質問は6つ。

Q1:なぜ他の店舗ではなく「書店」を選んだのか?
A1:人を置けないので、「無人」が前提条件だった。そのうえで、扱いやすい商品(あるいはモデル)が「書籍」だった。
 *私の驚きは、「本が好きなわけではない」のに古書店をやってみようと思ったこと。
  つまり、これは「趣味」じゃない。「ビジネス」だ。

Q2:書店経営は、高校生のあなたにとってどんな意味を持っているか?
A2:実店舗を持ったビジネスをすることで、現実味を感じさせてくれる点。

Q3:あなたがライフワークにしたいことは?
A3:「世の中の課題をアイディアで解決すること」。
 *本県の起業率は全国ワースト1。そのため、行政は起業サポート事業を推進しているが、起業家自 身のニーズを満たすケースに終始している気がする。だから「地域創生」につながることをしてみたい。個人的には、CMや広告の作成にかかわりたい。視覚や聴覚だけでなく、他の感覚を刺激することで商品にリアリティを与え、購買意欲を喚起するアイディアを出していきたい。

Q4:あなたの人生プランは?
A4:大学卒業後は広告関連の会社に入り、基本的なビジネスマナーやモデル、スキルを身につけたい。その先は未定。

Q5:あなたが普段の生活で心掛けていることは?
A5:アイディアに触れ、アイディアを生み出すこと

Q6:一緒に仕事をする仲間を選ぶとき、最も大切にしたいことは?
A6:一番は、自分と違った考えを持っている人をパートナーにしたい。違っているからこそ、新たなアイディアにつながるもう1つは、強いてあげれば、フィーリング。この人と一緒にやってみたいと思えるような人。

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高校生世代に、もっと刺激を。

秋の終わりの、ある休日のわずか50分。
とても短い時間だったが、私は興奮していた。

「学校の枠を飛び出して、地域再生にアイディアを試そうとチャレンジしている高校生がいる。」

信じられないくらい嬉しくなった。

「普段、授業で接している高校生に対して、何が与えられるか?」

この質問に対する回答が、私にとっての今回の訪問の動機づけであり、収穫でもある。

「高校生に与えるもの」として、私が最も高い価値を置くのは、「刺激」だ。

「君たちと同年代の、同じ立場の若者が、こんなことをしている」。

そう伝えること。ただし、「だから、こうしよう」とは言わない。共感してもらえない可能性だってある。ただ、「事実」を伝える。事実は誰よりも沈黙を守り、それゆえに雄弁にもなる。

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彼の試みを生徒に伝えたい理由はいくつかあるけれど、絞るなら2つになる。

  • 「空き店舗の活用方法」や「無人化」など、今後の社会動向を踏まえた試みだから。
  • アイディアを出すことの重要性を体に染み込ませてほしいから。

特に、後者は欠かせない。

若者はお金がないのは当たり前。強力なコネも持たない。
しかし、アイディアがあれば。
アイディアは事業に必要な人材や資金を調達する。

もちろん前提条件としての知識は必要だ。
しかし知識とアイディアが融合した時、サプライズが生まれる。

毎日流れる時間は、私にとってもアイディアを生み出す過程そのものだ。そのアイディアは、すぐに日の目を見ないものがほとんどである中、虎視眈々とスポットを浴びる機会を狙っているものも、少なからずある。

私の役目は、そのアイディアをステージの中央に引っ張り出して、満場の観客とともに拍手を送ることだ。

今日は刺激的な時間を過ごせた。来週の授業では、今日の話を生徒に伝えよう。
普段接する彼らも、刺激を待っている。人生を生き抜くためのアイディアを。

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