教師が「社会人としてどうなの?」と思われる瞬間。
その1つに、「伝言係ができない」というものがあります。
生徒が教務室にやってきます。
「3年1組の〇〇です。□□先生に用事があってきました。」
この言葉は、入学時に教え込まれます。社会に出る準備として、まず自分が名乗り、誰にどんな用事があるのかを入り口で伝える決まりです。
さて、あなたならどう答えますか?
誰かと話すときは、相手の顔を見ましょう
まず、該当職員がいる場合。
ほとんどのケースでは、「はーい」や「おー」という返事が聞こえるだけです。
その職員は顔を上げず、声のみで返事をします。
生徒は「失礼します」と言って入室。該当職員の近くに行き、要件を話します。
ところで、先の職員はどんな対応をするかというと、顔をパソコン画面に向けたまま、耳で話を聞くのです。ひどいときは、要件が終わるまで生徒の顔を見ないケースもあります。
生徒はQ&Aで来たんじゃない
では、次に該当職員が不在の場合。
1.誰も返事をせず、沈黙が流れる。
2.その後、生徒の声を聞いた職員の誰かが「□□先生はいないよ」と言う。
3.生徒は「わかりました。失礼しました」と言って帰る。
こんな感じです。
さて、あなたなら、どんな風に対応しますか?
ベストアンサーは、こうです。
1.職員室を見回して該当職員がいないことを確認。
2.席を立ち、入口にいる生徒のもとへ。
3.不在理由を推測して生徒に伝えたうえで、生徒の要件を聞く。
4.直接伝えたいという意思表示があれば、該当職員の時間割を確認し、戻りそうな時間を伝える。
伝言でよければメモとペンを渡し、要件を記入させたうえで該当職員の机上に置く。
メモには来室日時を記載し、署名を残す。
この対応は、外部の大人への対応と変わりません。
職員室には一日に数回、外部の方がお見えになります。
弁当販売の業者の方。
地元の書店や文具取扱業者の方。
出版社の営業の方。
旅行会社の方。
卒業アルバム作成業者の方。
コピー機などのメンテナンス業者の方。
1日に1人、多くても5人程度です。
こういった方々に対しては、上記にあるベストアンサーで触れたように対応します。
しかし、大人相手でも、これができない教師は大勢います。
同僚相手でも、保護者相手でも、同じレベルのことが起こります。
それ、立場が上の人に対してもする?
私がかつて勤務していた管理職は、とても「有能」で、いつも忙しそうにしていました。
ある時、要件があって「今、お話よろしいでしょうか」と尋ねたところ、その管理職は眉間にしわを寄せ、パソコン画面から目を離すことなく、耳だけで話を聞いていました。
私はその人のそのような態度を普段から見ていたので、要件が済むとすぐに自席に戻りましたが、木で鼻をくくったようなその態度が繰り返されることによって、できるだけその人に話を持ち込まないで済む方法を考えるようになりました。
私が肝に銘じていることは、こうです。
誰かが私を尋ねてきたら、仕事を止めて、顔を向ける。
相手が管理職であろうと外部の業者の方であろうと生徒であろうと、同じ態度を貫く。
相手の話を途中で遮らず、1回は最後まで聞く。
こうした振る舞いを、徹底して繰り返します。例外があってはいけません。
その代わり、目に見えない効果が時間をおいて生まれます。
わたしはそれを、「信頼」と呼んでいます。
「誰もが気持ちよく接することができるように」。
生徒にこんな風に諭す教師自身こそ、きちんと振舞わなくてはなりません。
教務室を覗き込む生徒の顔が見えたら、こう言ってください。
「用事は何? 私でよければ聞くけど」
公立高校の現役教師。教員経験28年(2021年3月末現在)。「教師は、仕事&私生活&リタイア後の人生、すべてにおいて成功すべし!」が信条。教師が成功すれば、学校は変わり、生徒も魅力的な大人に成長します。まず教師であるあなたの成功を最優先課題にしましょう。
☑心理学修士(学校心理学)
☑NPO法人「共育の杜」オンラインサロン『エンパワメント』専任講師
☑一般社団法人7つの習慣アカデミー協会主催「7つの習慣®実践会ファシリテーター養成講座」修了。ファシリテーターを3年務め、セミナーを開催。
☑ハンドルネーム「角松利己」は角松敏生から。
「原則」&「ビジネス思考」で、教師が自由になるための方法をお伝えします。